3社の財務を一表で

項目思谋科技(SmartMore)梅卡曼德(Mech-Mind)创新奇智(AInnovation)
主な領域工業マルチモーダル大模型、外観検査AI+3Dビジョンのロボット部品工業大模型、マシンビジョン
上場の状況2026年3月16日に香港上場申請2026年9月1日に香港上場(09615)香港上場済み
収益10.86億元(2025年)3.888億元(2025年)8.29億元(2026年上半期)
伸び2023年4.85億元→2024年7.56億元→2025年10.86億元開示は出典で未確認前年同期比18.6%増
粗利率37.3%(2025年)出典で未確認35.4%(2026年上半期)
利益出典で未確認純損失3.602億元(2025年)調整後純利益が上場後初の半期黒字
海外比率出典で未確認50.3%(2025年)出典で未確認
第三者の市場評価Frost & Sullivan:工業AIエージェント提供企業で収益首位、シェア5.8%(2025年)CIC:AI+3Dビジョンのロボット部品で世界シェア22.1%首位「AI+制造」が収益の81.5%

(出典:36氪2026年3月16日、南方财经2026年7月15日、EqualOcean2026年9月2日、同花顺2026年9月15日)

期間が揃っていない点に注意してください。思谋と梅卡曼德は2025年通年、创新奇智は2026年上半期の数字です。収益の大小を直接比べることはできません。

思谋科技の収益が2023年4.85億元、2024年7.56億元、2025年10.86億元と伸びた棒グラフ 4.852023年 7.562024年 10.862025年 億元 出典:36氪(2026年3月16日、上場申請書の開示に基づく報道)
思谋科技の収益推移(2023〜2025年、香港上場申請の開示)

各社独自の指標の定義に注意

上場時の開示や報道では、各社が独自の指標で事業規模を示しています。

  • 思谋の「累計約14万の工業AIエージェントを納入」「検査回数170億回超」:思谋が「エージェント」と呼ぶものの単位(検査装置1台ごとか、検査項目ごとか)は、報道からは分かりません
  • 思谋の「Frost & Sullivanで工業AIエージェント提供企業の収益首位、シェア5.8%」:市場の定義は調査会社によるもので、首位でもシェア5.8%という分散した市場であることも示しています
  • 梅卡曼德の「世界シェア22.1%」:CIC(灼识咨询)による「AI+3Dビジョンのロボット部品」という狭い市場での数字です

財務から読み取れる3つの構造

  1. 収益は伸びているが、利益は別:梅卡曼德は2025年に収益3.888億元に対して純損失3.602億元で、収益とほぼ同額の赤字です。创新奇智は上場後に初めて半期で黒字化しました(調整後ベース)。工業AIは成長市場ですが、利益を出せる段階に達した企業はまだ少数です
  2. 粗利率は35〜37%:思谋37.3%、创新奇智35.4%と、ソフトウェア企業としては低めです。ハードウェア(カメラ・検査装置)やプロジェクト型の導入作業が収益に含まれるためと考えられます(推測)
  3. 海外比率が高い企業がある:梅卡曼德の海外比率は50.3%で、収益の半分を中国国外で稼いでいます。日本も含む海外市場で、中国の工業ビジョン企業と競合・取引する場面は増えるとみられます

日本の顧客・競合にとっての意味

日本の製造業にとって、これらの企業は、中国工場での調達先であり、日本国内でも製品を目にする可能性のある競合・供給者です。

上場によって財務が開示されたことは、取引先の評価がしやすくなったという意味でもあります。中国のAI企業との取引では、これまで財務情報の入手が難しいことが判断の壁でした。

思谋と创新奇智の大模型

3社のうち2社は、工業向けの大規模モデルを事業の中核に据えています。思谋のIndustryGPT(工業マルチモーダル大模型)と、创新奇智のAInnoGC(奇智孔明工业大模型)です。创新奇智は2026年9月10日、中国工业互联网研究院の「中国AI大模型工业应用优秀名录」に選ばれました(同花顺、2026年9月15日)。

外観検査の判別モデルで事業を立ち上げた企業が、大規模モデルを掲げて上場する流れは、資本市場での評価を意識したものでもあると考えられます(推測)。収益の中身が大規模モデルなのか、従来型の検査装置・判別モデルなのかは、開示資料の事業区分で確認する必要があります。思谋の詳細は思谋科技IndustryGPTで扱っています。

よくある質問

3社は日本で事業をしていますか

今回の調査では、3社の日本での提供状況は確認できていません。梅卡曼德は海外比率が50%を超えていますが、国別の内訳は出典では確認できていません。

上場申請中の思谋の数字は確定値ですか

上場申請書類の開示に基づく報道です。上場審査の過程で数字が修正される可能性もあるため、正式な目論見書で確認してください。

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この記事を書いた人

株式会社サオス

株式会社サオス 製造DX部

DELMIA Apriso を中核とした MES / 製造DX の導入・運用・人材育成と、製造業向けAIの調査・開発・教育を手がけるITコンサルティング企業。ISO 9001:2015 / ISO 27001:2022 認証取得。 日本・中国・米国で製造業のMES・データ基盤・AI導入を手がけた実務者が、欧米・中国の一次情報にあたって書いています。