自治体の支援は3つの型に分かれる

自治体の製造業向けAI・DX支援は、大きく3つの型に分けると整理しやすくなります。

自治体のAI支援の3類型 1 国の補助金への上乗せ国の採択が前提補助率を引き上げる例:大分県(省力化補助金) 2 自治体独自の補助金独自の要件・審査設備・システム投資例:島根県(生産プロセス変革) 3 実証・技術支援サンドボックス・公設試検証の場と専門家例:長野県・石川県(実証・検証事業)
自治体の支援の3つの型。国の制度との関係で探し方が変わる。

確認できた5つの例(2026年10月時点)

以下は、本サイトが参照した公開情報で確認できた例です。金額や補助率は掲載時点のもので、年度や回によって変わります。申請前に各自治体の最新の要綱・公募要領を確認してください。

#自治体・制度型内容(掲載時点)情報源
1大分県(中小企業省力化投資補助金への上乗せ)上乗せ補助率が合計3/4(国1/2、県1/4)、一般型の上限は1億750万円中小機構 補助金活用ナビ
2島根県「ものづくり産業生産プロセス変革等支援事業補助金」独自補助率3/4以内、上限3,000万円中小機構 補助金活用ナビ
3長野県「信州AI GEARS」サンドボックス事業実証TIMEWELLとオリオン機械による2D図面→3D CAD自動生成AIの実証を採択(2026年10月1日発表)MONOist(2026年10月8日)
4石川県 成長戦略ファンド事業(2024年度)実証PFUの外観検査設計技術を石川県工業試験場と検証。この技術はNEDOの「ものづくりDXチャレンジ」で1位を受賞MONOist(2026年9月29日)
5都道府県の公設試験研究機関技術支援4の例のように、検査・計測の検証を公設試と共同で行う形がある同上

1と2は資金の支援、3〜5は実証の場や技術的な検証の支援です。AI投資では、資金よりも「自社の工程でAIが使えるかを確かめる場」が足りないことが多く、3〜5の型も同じくらい役に立ちます。公設試や支援機関の使い方は補助金以外の公的支援で詳しく扱っています。

自社の所在地で制度を探す手順

自治体の制度は名称がばらばらで、「AI」という言葉が入っていないことも多いため、検索の仕方に工夫が要ります。

  1. 都道府県の産業振興課・商工労働部のページを確認する:「生産性向上」「DX」「省力化」「スマートファクトリー」「設備投資」などの語で探す。「AI」だけで検索すると漏れる
  2. 都道府県の産業支援機関(産業振興センター、産業技術センターなど)の公募情報を見る:補助金と、実証・専門家派遣の両方が載っていることが多い
  3. 市町村の制度も確認する:工場の所在地の市町村が、設備投資への独自補助や固定資産税の軽減を持っている場合がある
  4. 国の補助金の公募要領で「地方公共団体による上乗せ」の記載を確認する:中小機構の補助金活用ナビには上乗せの例が載っている
  5. 地域の金融機関や商工会議所に聞く:上乗せ制度の最新状況を把握していることが多い

AI投資で自治体支援を使う順番

AIの導入では、次の順で自治体の支援を組み合わせると、資金と検証の両方を確保しやすくなります。

  • 構想・検証段階:公設試や自治体の実証事業で、撮像テストやデータの検証を行う。費用負担を抑えながら、AIが使えるかどうかの判断材料を得る
  • 導入段階:国の補助金(省力化投資補助金、新事業進出・ものづくり補助金など)に申請し、自治体の上乗せがあれば併用する
  • 横展開段階:自治体独自の設備投資補助や税の軽減を、2ライン目以降の展開に使う

検証段階で得たデータは、国の補助金の事業計画で「AIの精度の見込み」の根拠になります。検証結果を、ワーク・撮像条件・判定基準とあわせて記録しておくと、後の申請書作成が楽になります。

よくある質問

自治体の補助金はどのくらいの頻度で公募されますか

年度ごとの予算で運営されるものが多く、年1回または複数回の公募、予算到達までの随時受付などさまざまです。年度の初め(4〜6月)に公募が集中する傾向がありますが、制度ごとに確認してください。

本社と工場の所在地が違う場合、どちらの制度を使えますか

多くの自治体制度は、補助対象の事業を行う事業所の所在地で判断します。工場の所在地の都道府県・市町村の制度を確認してください。詳細は各要綱で確認が必要です。

上乗せ制度の申請は国の申請と同時ですか

制度によって異なります。国の交付決定後に申請する形もあれば、国への申請と並行して事前登録が必要な形もあります。国の公募が始まる前に自治体の窓口に確認しておくと安全です。

この記事を書いた人

株式会社サオス

株式会社サオス 製造DX部

DELMIA Apriso を中核とした MES / 製造DX の導入・運用・人材育成と、製造業向けAIの調査・開発・教育を手がけるITコンサルティング企業。ISO 9001:2015 / ISO 27001:2022 認証取得。 日本・中国・米国で製造業のMES・データ基盤・AI導入を手がけた実務者が、欧米・中国の一次情報にあたって書いています。