制度の概要(2026年10月時点)
2026年度から、制度名が「IT導入補助金」から「デジタル化・AI導入補助金2026(中小企業デジタル化・AI導入支援事業)」に変わりました。この記事の内容は、中小機構の公式サイトと補助金活用ナビで2026年10月時点に確認したものです。公募回ごとに要件が変わるため、申請前に必ず最新の公募要領を確認してください。
2026年の主な経過は次のとおりです。
- 2026年1月30日:事前登録の開始
- 2026年3月30日:交付申請の受付開始
- 2026年10月7日:通常枠4次などの採択結果を公表
- 2026年10月9日:第7次公募以降の制度変更を告知
10月9日に告知された第7次以降の変更点は、公式サイトで個別に確認してください。
枠の構成
枠は、通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠の5つです。AIツールの導入で中心になるのは通常枠です。
| 枠 | 補助上限 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 業務プロセス1〜3つで5万〜150万円、4つ以上で150万〜450万円 | 中小企業1/2、最低賃金近傍の事業者は2/3 |
| インボイス対応類型 | ITツール1機能で50万円、2機能以上で350万円 | 50万円以下は3/4(小規模4/5)、50万〜350万円は2/3 |
| セキュリティ対策推進枠 | 5万〜150万円 | 中小1/2、小規模2/3 |
最低賃金近傍の事業者として2/3の補助率を受けるには、地域別最低賃金+50円以内で3か月以上雇用している従業員が、全従業員の30%以上いることが条件です。
採択の状況
2026年10月7日に中小企業庁が公表した採択結果は次のとおりです。
AIで使えるもの・使いにくいもの
この制度の最大の特徴は、補助対象が事務局に登録されたITツールに限られ、申請も登録された「IT導入支援事業者」を通す必要があることです。そのため、AIの調達方法によって使いやすさが大きく変わります。
| AIの調達方法 | この制度との相性 | 理由 |
|---|---|---|
| 登録済みのクラウドAIサービス(AI-OCR、生成AIの業務ツール、需要予測SaaSなど) | 使いやすい | 登録ツールとして申請できる |
| 登録済みのパッケージに付属するAI機能(生産管理、品質管理のパッケージなど) | 使いやすい | パッケージごと登録されていれば対象 |
| 自社の現場に合わせて受託開発するAI(外観検査モデル、予知保全モデル) | 原則使いにくい | 登録ツールではないため |
| 自社開発のAI | 原則使いにくい | 同上 |
| カメラ・照明・PCなどのハードウェア | 枠と条件による | ハードウェアの扱いは枠ごとに異なるため公募要領で確認 |
現場に合わせて作るAI外観検査やロボットセルは、中小企業省力化投資補助金(一般型)や新事業進出・ものづくり補助金のほうが合っています。用途ごとの使い分けはAIの用途別にどの補助金を使うかで扱います。
製造業での使いどころ
製造業でこの制度が合うのは、既製のツールで解ける業務です。
- 紙の検査記録や点検表を読み取るAI-OCRのクラウドサービス
- 生産計画や在庫管理のクラウドサービスに付属する需要予測の機能
- 社内文書の検索や報告書の下書きに使う生成AIの業務ツール
- 設備の稼働を見える化するクラウドサービス
これらは導入までの期間が短く、補助金の上限の範囲に収まりやすいテーマです。予算の小さい中小製造業の始め方は予算100万円以下で始める製造業AIも参照してください。
申請の注意点
交付決定の前に契約しない
交付決定の前に契約・発注・支払いをしたものは、補助の対象になりません。ツールの試用は可能でも、本契約は交付決定の後にします。
不正受給への注意
公式サイトは、不正受給への注意喚起、自主返還の受付、IT導入支援事業者の登録取消を繰り返し告知しています。「実質無料になる」「キャッシュバックがある」といった勧誘には応じないでください。補助金の対象経費を実質的に還元する行為は不正受給に当たるおそれがあります。
導入後の効果報告
補助金を受け取った後も、一定期間、効果の報告が求められます。導入したツールが使われなくなると、報告に困ることになります。導入の前に、誰が運用し、何の指標で効果を測るかを決めておきます。
よくある質問
ChatGPTなどの生成AIサービスは対象になりますか
対象になるのは、事務局に登録されたITツールだけです。利用したい生成AIサービスが登録されているか、どの支援事業者が扱っているかを公式サイトで確認してください。
採択率はどのくらいですか
2026年10月7日に公表された通常枠4次の採択率は約44%(申請1,836者・採択816者)でした。回ごとに変動するため、最新の採択結果を確認してください。
外観検査AIに使えますか
登録済みの外観検査ツールであれば対象になりえますが、現場に合わせて開発する外観検査AIは原則として対象にしにくい制度です。その場合は省力化投資補助金(一般型)などを検討します。
