4段階の位置づけと要件

「智能工厂梯度培育」(スマート工場の段階的育成)は、工信部・发改委・财政部・国资委・市场监管总局・国家数据局の6部門が進める認定の仕組みです。工場を4段階に分け、段階ごとに認定して上の段階へ引き上げていきます。

下から基础级3.5万超、先进级8200超、卓越级500超、领航级15のピラミッドと、それぞれの位置づけとAI要件 领航级 15世界の標杆 卓越级 500超全国の標杆 先进级 8200超地域・業界の先導 基础级 3.5万超デジタル化の普及 AI応用シーン60%以上 AI応用シーン20%以上 成熟度4級以上 成熟度3級以上 成熟度2級以上
智能工厂梯度培育の4段階のピラミッド。上に行くほど件数が少なく、AIの要件が厳しくなる(件数は2025年末時点)。
段階位置づけGB/T 39116の成熟度AIの要件
基础级デジタル化の普及2級以上明示なし
先进级地域・業界の先導2級以上明示なし
卓越级全国の標杆(模範)3級以上AIの応用を探索。2025版要求でAI応用シーン20%以上
领航级世界の標杆4級以上AIの広く深い応用。2025版要求でAI応用シーン60%以上

GB/T 39116-2020は、中国の「智能制造能力成熟度モデル」の国家標準で、工場のスマート化の水準を等級で評価します。2025年6月の通知では、卓越級に「AI応用の探索」、领航级に「AIの広く深い応用」が求められました。その後、「智能工厂梯度培育要求(2025版)」で、AI応用シーンの比率が数値で定められました。この数値要件の意味はAI応用率が認定要件にで詳しく扱っています。

件数は時点で大きく変わる

智能工厂の件数は、報道の時点によって大きく異なります。主な時点の数字を並べます。

時点基础级先进级卓越级领航级出所
2025年6月3万超1200超230超-中国证券报
2025年9月--2025年度暫定リスト274件-扬子晚报
2025年11月---第1弾15件発表科技日报
2025年末3.5万超8200超500超15北京商报(2026年1月)
2026年6月累計約4.37万工場CarNewsChina(CCTV報道)

段階ごとに報告された成果

2025年6月時点の公表では、卓越級工場の平均で、研究開発の周期28.4%短縮、生産性22.3%向上、不良率50.2%低減、炭素排出20.4%削減とされました。2025年末の公表では、领航级の平均で生産効率29%向上、不良率47%低減です。领航级の2024年の平均利益率は約10%で、大規模工業企業の平均の約2倍とされています。

2026年6月のCCTVの報道では、累計約4.37万工場で不良率が平均47%低減、開発期間が平均38%短縮、智能制造装备・工業ソフト・システムソリューションの産業規模は4.5兆元超とされました。

これらは政府の公表値で、比較の基準や対象範囲の詳細は示されていません。認定された工場は元々先進的な工場であるという選択の偏りもあるため、「認定を受ければこの効果が出る」とは読めません。

2026年度の申請枠と地方の実績

2026年度の培育行動は、2026年7月15日付で通知されました。卓越級の申請締切は8月15日で、省ごとの上限が設けられています。

  • 工業付加価値の上位10省:40件
  • 11〜20位の省:30件
  • その他の省:20件
  • 中央企業:各5件
  • 领航级:各省の累計卓越級の10%が上限

同じ通知は、地方政府に工業AIエージェントの開発支援を求めています。

地方の実績の例として、江苏省は2025年度の卓越級暫定リスト274件のうち44件(16%)を占め、镇江市は2025年10月時点で基础级711、先进级143、卓越级4を育成済みです。

日本のスマート工場施策との違い

日本にもスマート工場の推進施策はありますが、工場を全国で段階的に認定し、件数の目標と省ごとの枠を設け、上位の段階にAIの数値要件を課す仕組みはありません。中国の仕組みは、認定を補助や表彰と結び付け、地方政府の実績評価にも使うことで、工場の引き上げを全国規模で回しています。

一方で、この仕組みは認定の件数を増やすことが目的化しやすい面もあります。認定の基準を満たすことと、工場の競争力が上がることは必ずしも一致しません。領航級の工場の個別事例は中国初の領航級智能工厂15件で扱っています。

よくある質問

外資の工場も智能工厂の認定を受けられますか?

公表情報の範囲では、外資を除外する記述は確認できていません。申請は省ごとの枠で行われるため、所在地の工業・情報化部門の通知で要件を確認する必要があります。

GB/T 39116とはどのような規格ですか?

中国の「智能制造能力成熟度モデル」を定めた国家標準(2020年版)です。工場のスマート製造の能力を段階的な成熟度で評価するもので、智能工厂の段階認定の基準として参照されています。智能工厂の段階認定では、基础级・先进级が2級以上、卓越级が3級以上、领航级が4級以上を求めます。

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この記事を書いた人

株式会社サオス

株式会社サオス 製造DX部

DELMIA Apriso を中核とした MES / 製造DX の導入・運用・人材育成と、製造業向けAIの調査・開発・教育を手がけるITコンサルティング企業。ISO 9001:2015 / ISO 27001:2022 認証取得。 日本・中国・米国で製造業のMES・データ基盤・AI導入を手がけた実務者が、欧米・中国の一次情報にあたって書いています。